Development Story / 開発ストーリー
ハイキングや登山で、キャップはほぼずっと身につけています。もはや体の一部でもあり、センサーの一つです。 髪の代わりに太陽や雨を受け止め、ツバは触角のように、前方の枝や異物を感知してくれる道具です。 脳は安静にしていても全身のおよそ2割のエネルギーを消費する、極めて高燃費の臓器。使えば当然、熱が出ます。こもった熱に、昨今の容赦ない酷暑の直射日光が加われば、頭部はあっという間にオーバーヒートしてしまう。 3シーズン用のキャップでは、こもった熱処理に対応しきれない場面は少なくありません。ならばフルメッシュを、と探すと、市場のものはフロントだけ生地が詰まっていたり、メッシュでも通気が足りなかったりと、どこか中途半端でした。それなら自分で作るしかない。そう考えたのが、このキャップの出発点です。 バックパックのために生産したダブルラッセルメッシュの残端を使って帽子にしてみたら想像以上に涼しく、メリノウールシャツの残端を使って試作した汗止めは肌あたりも臭いも少ない。さらにツバにメリのウールを使うと吸水拡散をしてくれることに気がつきました。
Design Concept / 設計コンセプト
・全周フルメッシュ構造 MIYAGENのバックパックの背面に使ってきた、独自のダブルラッセルメッシュ。線状の凹凸で空気の通り道をつくり、通気性・耐摩耗性・吸水速乾性に優れた生地です。背中の蒸れを逃がすために選んだこの生地を、頭部の放熱のために、フロントまで含めた全面に使いました。市場で妥協されがちなフロントこそ、いちばん熱を逃がしたい場所だからです。 ・メリノウール100%の汗止め(スベリ) 額に直接触れるスベリには、MIYAGENのメリノウールTシャツと同じメリノウールを使用しました。肌あたりがよく、耐久性が高い。さらにメリノには、汗のニオイを抑え、かいた汗をツバ裏へ吸い上げて拡散させる働きがあります。いちばん汗を感じる部分を、いちばん快適な素材で受け止める設計です。 ・ゴム紐による調整 細いゴム紐は、締めたときにかえって食い込んで違和感が出ます。そのため、太めでやや硬さのあるものを選びました。長時間でも当たりがやわらかく、強く締めれば強い風でも固定ができます。 採用したのは再帰反射素材のゴム紐です。後続の車やすれ違うハイカーのライトを受けて反射し、ナイトハイクで自分の存在を知らせます。 ゴム紐は縫い付けていないため、劣化したら自分で交換が可能。長く使い続けられます。太めの調整式なので、まとめた髪を通したり締め具合を逃がしたりと、長髪のロングトレイルハイカーにも合わせやすい構造です。